ドーナツアンプとトスカスピーカー

少し変わった君が、ソレをみんなに届ける話。

新呼吸

僕の部屋の観葉植物、トネリコの枝が揺れている。

 

窓を開けているわけではいないから風の通りでは無くて

 

見るたびに新芽を増やすこの時期、今もきっと光合成長中なのだろう。

 

そんなトネリコに背中を押されてか、数年ぶりにビカクに電話をかけた。

 

今連絡しないといけない気がした。

勢いだけではなかったし、もちろんたっぷり躊躇もした。

たくさんの選択肢の中から「電話をする」というピースが動きたがっていた。

 

数回鳴ったプルルは留守番電話に繋がった。

一発目で繋がることはないだろう。と思ってはいたから

自分の行動にだけ冷静を保つよう、鼓動を整えていたら

折り返しかかってきた。

 

久しぶりのその声を僕は懐かしんだ。

 

再放送でもリバイバルでもない新しくも懐かしいその存在が嬉しかった。

 

知った花が種を付け、一度土に埋めたそれがまた花をつけたような。

 

多少、強引な僕の気持ちに体の一部を傾けてくれたことに感謝した。

 

元気そうで安心した。

 

不満もあるようで安心した。

 

相変わらず新しい彼で安心した。

 

 

電話を切った後、僕は前に進めた気がした。

 

うー。と音を鳴らしている冷蔵庫をなだめるように手を当てた。

 

大丈夫だよ。いつも胃袋を支えてくれてありがとう。

 

その日は眠れなかった。

 

きっと起きているほうが幸せだと体が感じたからだろう。

 

新しい呼吸に体を慣らしながら。