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ドーナツアンプとトスカスピーカー

少し変わった君が、ソレをみんなに届ける話。

#3 レーザービーム

幼稚園の休み時間、体育で使うマットを引っ張りだしてきて決闘をしていた。

血の気が多かったわけでもなく、脳に問題があったわけでもなく、幼稚園という初めての組織の中でヒエラルキーのトップを目指したわけでもなく、純粋に力の大会を開催することに意味を感じていた。

完全にドラゴンボール等の影響だった。

 

試合は1対1で行われ、どちらかがギブアップするまで。という簡単なルールだった。

小柄な僕は大きいヤツと戦うことを好んだ。小さいキャラvs大きいキャラというわかりやすい絵を思い浮かべていた。順調に開催されていた大会もどきも、大人達の真っ当な判断によりあえなく禁止となった。当然だ。骨折者も出ていた。保護者からの苦情もあっただろう。幼稚園で開催されている力の大会なるものに関して保護者が心配して幼稚園に連絡するのは理解できる。とはいえ、負けたことがイヤで親に言った人達に関しては何か違うと感じていた。自らモッシュに参加してケガをしたからと言って運営にクレームを入れるのは違うんじゃないか。みたいな感じなのだが、色んな人がいるから的なことは日々思い知る。

強制的に参加させたことはないし、ギブアップしたらすぐにやめていた。そこはスムーズだった。勝った負けたで上下関係が仕上がってしまうこともなく、いつもお互いの健闘を称えていた。子供ながらにその辺のリスペクト的な感覚は持ち合わせていた。少なくとも僕はそう感じていたし、始める前のみんなのなんともいえない「高めてます」みたいな空気や終わったあとの清々しさは好きだった。とはいえ危険なことだから続けてはいけないことも理解と納得はした。

それからしばらくしても僕は練習していれば手から波動も出せるようになるだろうし、指からレーザービームも出ると信じて疑わなかった。

一度のパンチで2、3回の衝撃を送れるようになると思っていたし、手をかざせば相手の動きを止めることができると。

まだ完全に否定をしていないのが僕の痛いところだけど、そんなヤツがいてもいいんじゃないかな。くらいに思っている。世界に対して害はないし、特訓や適正や特殊性は否定しても仕方がないかなと思うから。

 

だってマイケル・ジャクソンは確実に特殊能力的な人間だ。

その才能を能力だけで片付けるつもりはない。凄まじい練習と発想力とか意識とか。全部込みで「すごい」と。

音楽、映像、本、色んなところで超人を目の当たりにする。

トイザらスに行ったときに探している商品の陳列されている場所へまっすぐ案内してくれる人も超人。

スタバの前を通りかかったときに見かけるチョークボードを描いた人も超人。

この観葉植物は冬に水をあげてはいけないことを教えてくれた人も。

エアコンを一人で設置できる人とか、みたらし団子を買った時にウェットティッシュを入れてくれた店員さんとか。

 

超人や魔法使いはたくさんいる。

 

超人や魔法使いの作品を手に取ることができる。

 

運が良かったり、メディアが動いてくれれば魔法のプロセスをみることができる。

 

努力すればプロセスの一部になることもできる。

 

指先からレーザービームを出すことはできなくても。

 

なかなかの運が必要なのは、超人や魔法使いがソレになっていく成長を近くで見ることだと思う。

 

優越感。と思われるかもしれないが、それとは多分違う。純粋に楽しいという気持ちだけなんだと思う。優越感どころか一歩間違えたら嫉妬とかになってしまうかもしれないのだから。

 

色んな人の指から色んな色のレーザービームが解き放たれるのを楽しみに待っている。

誰も傷つけないそれは、きっとキレイなんだと思う。